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理学療法の知識と基礎 病院・クリニック・介護施設の勤務を経て辿りついた思いです.

TFCC損傷について           
 

TFCC損傷

三角線維軟骨複合体(TFCC)は尺側の手根骨と尺骨頭の間に介在する線維軟骨と靭帯からなる遠位撓尺関節の支持機構である。手関節背屈で回内力が加わった状態、手をついて転ぶような動作でTFCCに損傷が発症しやすい。

 外傷断裂をType1、変性断裂をType2とする。

Type1断裂では、
type1A
TFCC中央部の損傷

TypeB:尺骨形状突起起始部の付着部断裂
TypeC:掌側辺縁部断裂
Type
D:撓側付着部断裂
 

 手関節尺骨側部の痛み、手関節伸展、尺屈、回旋時などに疼痛や有痛性の引っかかり感を訴える事が多い。遠位撓尺関節の不安定性、握力低下を有することもある。

 

【治療方針】

 保存療法:急性例では3ヶ月間は保存療法を行う。手関節スプリントで固定し、局所安静を保つ。手関節内にステロイド注射を行う事もある。

 手術治療:保存治療でも症状が軽快しない場合は手術治療の適応となる。

type1A 鏡視下にTFCC断裂部位の部分切除を行う。術後一週間は手関節から手指までスプリントを固定する。術後一ヶ月より徐々にスポーツ復帰を行う。

TypeBD:辺縁部の損傷であるため、原則的に修復を行う。直視下もしくは鏡視下で手術を行う。術後4週間は上腕ギプスを行い、その後リハビリテーションを開始する。スポーツ復帰は術後3ヶ月を目安にする。

平成17年度スポーツ安全保険の概要によると、スポーツ障害は
132485件でそのうち手関節の障害は7,770件である。これは、肩関節や肘関節よりも障害件数が多い事から、スポーツにおける手関節の障害は珍しいことではない。



問診…
@痛みの有無

Aどのような動作で痛むか
Bいつ痛んで、どのような練習をやってきたか
C競技内容や今後のスケジュール


視診…
変形、出血、傷、腫脹、発赤に十分注意する。

明らかな変形がある場合には骨折や脱臼を念頭におき、腫脹がある場合には靭帯や筋肉の損傷を念頭におく。